妊娠や出産、家族が増えるということはすごく嬉しいことですね。
しかし、子育ても嬉しさ、楽しさだけでなく不安や大変なこともあると思います。
いつまでもお子さんの成長と正面から向かい合えるようにご自身の体の不安を一つずつ解決していきませんか?
今回は妊娠中、出産後に多い「腹直筋離開」について紹介していきます。
あまり聞きなれない言葉だと思いますが、腰痛の原因になったり、痩せにくい身体になりポッコリお腹が目立ってしまうなど、痛みも見た目の変化も起こりうる疾患です。
産後の体の変化を整えて、お子さんの成長と向かい合える体を作っていきましょう。
腹直筋離開とは
主に妊婦さんや出産後のママさんに見られ、シックスパックなどを作る腹筋の縦の線(白線)が左右に伸ばされて薄くなっている状態のことです。
仰向けで膝を曲げて首を覗き込むように上げた時に左右の腹筋の間が指2本(2,7cm以上)開いてしまうと陽性になります。
原因
腹直筋離開の原因として
・妊娠でお腹が大きくなり腹筋が伸ばされて横に開いてしまう。
・女性ホルモンの影響により腹筋の間の白線が伸びてしまう。
・妊娠中の過度な腹筋運動
などが挙げられます。
また、巨大児、高齢出産、双子以上の出産、複数回の出産などは起こる確率が高くなります。
症状
腹直筋離開の主な症状として
・腹筋運動ができなくなる
・体幹のバランスが取れなくなり腰や背中、骨盤帯に痛みが出てくる
・産後の尿漏れが改善しない
などがあります。
お腹の腹直筋が伸ばされて厚さが薄くなり、力が入りづらくなって起こります。
腹筋に力が入らなくなると起きること
腹筋群の作用として、腹圧を高める、体幹の前屈、骨盤の後傾などがあります。
そのため、腹筋群が弱まると正しい姿勢を維持することが困難となり、猫背や反り腰などの不良姿勢になります。
不良姿勢になると腰痛や肩こり、脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどにつながることもあります。
実際、産後の方の約70%が腰痛を訴えており、出産前と比べると腰椎前弯の角度が増し、腹筋群の厚さが薄くなります。
また、腹筋群は内臓とも関係性が深く、特に胃や腸といった臓器は外側に骨がないため、腹筋が守る役割を担っております。
内臓下垂の原因の一つに腹筋群の筋力低下が挙げられます。
腹筋の力で内臓を正しい位置に保持することにより、内臓を流れる血流が良くなり、内臓機能の向上や全身の循環を良くすることができます。
一般的な治療
腹直筋離開の治療として腹筋群のトレーニングが挙げられます。
よくイメージする腹筋運動により腹直筋を鍛えることは可能です。
しかし、インナーマッスルと呼ばれるお腹の奥の筋肉に刺激を与えることは難しいです。
そのため、EMS等の機器を使用したトレーニング、腹筋運動が主な改善法となります。
当院での治療
当院ではお腹の状態だけでなく、全身を見ていきます。理由として、骨盤の歪みや日常生活での癖が腹筋の力が入らなくなる原因になることが多いためです。
全身で循環を悪くしている場所や左右で均等に力を使えていない場所を治して、骨盤や背骨などの土台の歪みを整えることで腹筋も含めて全身の筋肉を正常に使える状態に整えていきます。
最後に
出産や妊娠はおめでたいことですが、裏には心身ともに負担は大きいものです。
今回紹介した腹直筋離開は自然治癒するケースもありますが、大きな病気や痛みの原因になったり、二人目の出産に支障が出てしまうこともあります。
当院では問診や検査で細かく調べ、症状とその原因を探していきます。
痛みや見た目の変化を気にせず、お子さんの成長に全力で向かい合える身体を一緒に作っていきましょう。